27卒高専生「進路の意思決定は『本科1~3年』が最多、就職志向が依然強く6割超」

27卒高専生(本科4年生および専攻科1年生)148名を対象に実施した進路意識調査では、「就職」を希望する学生が全体の6割を超え、依然として高専生のキャリア観は就職志向が主流であることが明らかになりました。
また、進路意識を持ち始めた時期として最も多かったのは「本科1〜3年」であり、進路形成には早期からの情報提供と体験の機会が鍵となることが示唆されました。
【TOPICS】
(1)27卒高専生の6割以上が「就職」を希望、進学希望も約3割
(2)進路を意識し始める時期は「本科1〜3年」が最多
(3)早期化する進路意識の裏に潜む「進路未定層」──多様な選択に応える採用戦略を
(1)27卒高専生の6割以上が「就職」を希望、進学希望も約3割

調査対象である27卒高専生のうち、夏前の6月時点で「就職」を進路希望として選んだ学生は91名(61.5%)と最も多く、次いで「進学」が41名(27.7%)となりました。
起業・独立・家業」は1名にとどまり、現時点では「まだ決めていない」とする学生も15名(10.1%)存在することが明らかになりました。
特に本科4年生では86名が「就職」と回答しており、進路が現実味を帯びる時期においてその傾向が顕著であることがうかがえます。
就職を希望する学生が多数を占める一方で、進学志向の存在も無視できません。
企業側としては、将来的なUターン・キャリアチェンジも視野に入れた接点設計が求められます。
(2)進路を意識し始める時期は「本科1〜3年」が最多

進路を意識し始めた時期については、「本科1〜3年」と回答した学生が66名(44.6%)と最も多く、「本科4年・専攻科1年」が46名(31.1%)と続きました。
「高専入学前」から進路を意識していた学生は36名(24.3%)でした。
本科1〜3年の段階で進路意識が高まり始めているという傾向は、キャリア教育を行うタイミングや企業の認知獲得における重要なヒントであるといえます。
特に、進路決定に至る前段階での「企業との早期接点」が、その後の選考参加や志望度形成に大きく影響する可能性があります。
(3)早期化する進路意識の裏に潜む「進路未定層」──多様な選択に応える採用戦略を
本調査を通じて、高専生の進路意識は本科1~3年の早期段階から形成される傾向が見られ、特に「就職」志向が依然として高いことが明らかになりました。
一方で、現時点で「進路がまだ決まっていない」と回答した学生も15名(10.1%)存在しており、すべての学生が早期の段階で明確な方向性を持っているわけではないという実態も浮き彫りとなっています。
こうした進路未定層の背景には、年々高まる求人倍率や情報量の増加に伴う『選択肢の多様化』も一因であることが考えられます。
結果として、学生自身が進路を精査・判断するための十分な情報や機会を持ちきれていない可能性も否定できません。
そのため、高専生の採用を検討する企業にとっては、進路が明確な学生とそうでない学生、それぞれに応じた様々な角度からのアプローチが重要です。
具体的には、以下のような施策が効果的と考えられます。
✓ 本科1~3年生の段階から接点を持つためのキャリア教育や職業見学の実施
✓ 進路未定層に向けた業界横断型での情報提供イベントや身近なロールモデルの紹介
✓ 就職志向・進学志向の両面を視野に入れた、柔軟な採用広報メッセージの設計
学生の多様な進路選択に寄り添いながら、企業と学生のより良いマッチングを図ることが、今後の採用活動における競争優位の確立につながるでしょう。
■調査概要
・調査時期:2025年6月15日
・調査機関:株式会社rita
・調査対象:高専コミュニクエスト キャリア交流会への参加者(高専本科4年生、専攻科1年生)
・有効回答数:148件
・調査方法:Web上でのアンケート調査
※各項目の数値は小数点第二位を四捨五入し小数点第一位までを表記しているため、択一式回答の合計が100.0%にならない場合があります。